中高年 転職 : 新しい分野への挑戦はありか?
ありだと思います。今の分野でうまくいかない、あるいは今の分野がジリ貧だから、新しい分野へ行くしかないというので、転職をしようとしているんだと思います。
もちろん、今の分野でうまくいっていて、更なる高みを目指したい方なら、わざわざ「新しい分野への挑戦」なんて、端から考えないですよね。
実際に、私も仕事の分野がジリ貧状態でした。40歳で事業所閉鎖のため、今度は大丈夫だろうと思える企業の同じ分野に転職したのに、また50歳で実質上の事業所閉鎖の憂き目に遭いました。そこで、もう慣れ親しんだ分野から離れて、新しい分野に挑戦することにしました。と言いますか、このまま定年まで同じ分野にしがみつくのは無理だと思ったので、挑戦するしかなかったのです。
どの新しい分野に挑戦すべきか?
中高年、特にその当時50歳だった私が、全く新しい分野に行くことは実質的に不可能です。なので、どちらかと言えば今の職種に近い違う分野を目指すことになります。
たとえ話で言いますと、私が高級大型自動車の設計開発部門にいたとします。もう、高級車はなかなか売れる時代ではなくなったので、軽自動車の設計開発部門に転職するという具合です。素人目から見れば、高級大型自動車も軽自動車も、同じ自動車なんだから大した違いはないと思われるかもしれませんが、全然違います。
をイメージしてもらえばいいかもしれません。
トヨタでは、高級大型自動車を設計開発するときは、ターゲットは日本市場だけではありません。欧米の市場や中国の市場に重点を置く必要があります。欧米や中国の市場の方が、日本市場よりも売り上げは大きいですから、当然のことです。なので、日本だけでなく、全世界の自動車市場の規制基準を満たす必要があります。欧米や中国では、右ハンドルではなく左ハンドルです。
つまり、左右ハンドルの車が問題なく作れる設計開発にしなけば、なりません。そのため、市場調査やニーズ調査も全世界でする必要があります。また、競合調査においては、ベンツ、BMW、アウディといった錚々たる自動車会社の旗艦モデルを研究し尽くして、活路を見出す戦略を取らないといけないことになります。スケールが大きい話ですので、関わる人員も多くなり、職務の細分化が行われています。
なので、高級大型自動車の設計開発をしていたとしても、ある特定部分、例えばインテリアのフロント部分しか担当したことがないといったことが起こります。しかし、世界市場が相手なので、グローバルなミーティングで英語でプレゼンしたりすることが求められます。日本市場の考え方だけでは、設計開発してはいけないのです。全世界に通用するものが求められ、それを行うために英語を駆使した話し合いが必須になります。
それに比べ、ダイハツでは、市場は基本的に日本だけです。軽自動車ですので、海外では規定外の自動車なので、基本売ることはできないのです。なので、ニーズ調査や競合調査も日本だけです。すなわち、市場規模は、トヨタの高級大型自動車に比べればかなり小さくなります。予算が少ないので、職務もインテリアのフロント部分しか担当しないということはできません。例えば、エンジンの開発にも携わることが必要になってきます。自動車の規制も、日本当局との遣り取りだけで済みますし、グローバルなミーティングで英語でプレゼンといった能力は不要です。
すると、高級大型自動車を設計開発していた人にとっては、軽自動車の設計開発には戸惑うことになります。英語でのグローバルミーティングでの自己主張を前面に押し出したような発表は、顰蹙を買ったりします。また、インテリアのフロント部分しかしてこなかったので、エンジンの設計は知りませんでは、基本的に許されません。つまり、ある意味、全く新しい分野でやって行くということになります。
こういうことを想定しているので、高級大型自動車の設計開発部門にいた人が、いきなり魚屋さんに転職するというのは、無謀だとしか思えません。
すなわち、新しい分野と言っても、ある程度の共通言語が通じる分野でないととても無理です。高級大型自動車から軽自動車の違う部門に移っても、自動車の設計開発という共通言語は保持されていますからね。
なので、そのような意味での新しい分野に挑戦すべきだとのことです。自分にとって新しい分野で将来性のある分野を、是非真剣に探してみてください。
新しい分野への挑戦の前提条件
新しい分野で将来性がある分野を自分なりにリサーチして同定したとします。よし、この分野に決定するのは、少し待ってください。本当にその分野が挑戦すべき分野なのかを精査する必要があります。
どうすれば精査できるのでしょうか?正直簡単です。それは、転職活動して採用されるかどうかで判断すればいいのです。中高年の転職者を吟味する採用担当者の目は非常に厳しいです。若手転職者の採用と全く違って、
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今後成長して伸びて行ってくれることを加味して採用することにしました。
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は、まずあり得ません。即戦力として活躍できるかどうかです。
高級大型自動車の設計開発部門だったとしても、非常に柔軟性を持ち意欲があり、英語力を駆使した発表力を鼻にかけたりせずに、十分に社内に溶け込んでやっていける人物であるかどうか?更には、高級大型自動車部門での経験を活かして、従来の軽自動車部門では考えられなかった全く新しい観点から、改善や改良を提案して、利益につなげることができるかどうか?といった観点で判断していると思います。
つまり、異分野だったという弱点を、新しい観点で改良、改革できるという強みに変えることができるかに、ある意味かかっていると思います。
もし、あなたが採用されないなら、いくら将来性のある新たな挑戦分野であっても諦めるのが賢明です。給料が3分の1以下になってもいいから、その分野に挑戦するというスタンスは、中高年の転職では、はっきり言って無謀です。同等か少し落ちる条件で、採用されるのなら、大いに挑戦をすることをお勧めします。
無事、新しい分野へ転職が決まった後の私の悲惨な体験
一般的な話ばかりしても、あまり伝わらないと思いますので、実際の私の体験談を話させていただきます。
私も、無事新しい分野に50歳の時に転職することができました。本当に有難いと思っています。新しい分野と言っても、上記のたとえ話のように、高級大型自動車部門から軽自動車部門に転職した形です。といっても、ほとんどの中高年のサラリーマンは、このような転職には成功していません。
やはり、即戦力となれるかどうかが、一番懸念されるからです。私の場合は、友人がその部門の部長の直属の部下で、私を強く、本当に強く推薦してくれたおかげでした。感謝しても感謝しきれません。その時のことは下記の記事に書いていますので、お時間があれば読んでいただければ有難いです。
晴れて入社しましたが、給料も上がりましたので、部下を持つ次長という役職でした。そのため、入社後1~2年は正直地獄でした。はっきり言って、同じ自動車の設計開発といっても、インテリアのフロント部分しか担当したことのない人間が、エンジンの担当をしろといきなり言われてもできる訳がありません。風当たりのきついこときついこと。
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なんであんな無能な奴を、次長で採用したんだ!
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辞めさせた方がいいんじゃないか?
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そんな噂は、私まで流れてきました。即戦力でやって行かないといけないので、土曜日、日曜日も、祝日も、自宅でひたすら会社の仕事をしていました。
外資系会社に良くあることですが、上司は全く言っていいほど、サポートしてくれませんでした。上司が意地悪なのではなく、彼も専門ではなかったので、正直どうしていいのかわからなかったようです。
部下は、「うまいこと上司を使って、できるだけ仕事をしないようにして、責任だけは上司に取らせるように仕向ける。」戦略を使っていました。部下も、意地悪な人達ではなかったですが、外資系で右も左もわからず入社した人間に対しては、冷淡です。様子見を1~2年はするといった具合です。
専門分野なら、それでも何とかやって行くことができるのですが、専門分野外なので、私もどうしていいかわかりませんでした。必死で食らいついていくといった感じでしょうか?内資系会社のぬるま湯から、いきなり外資系会社の熱湯に、放り込まれた感じでした。
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こんなことなら、新しい分野に挑戦なんかしなければ良かった。
ジリ貧でも自分がやってきた同じ分野にしがみつけば良かった
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と嘆いていたものです。
長い時間はかかりましたが、エンジンの設計開発もそれなりできるようになり、何とか今もやっています。(ちなみに、私は自動車関係の会社には一度も入ったことないですし、全くの専門外です。あくまでも、たとえ話として記載しています。)
入社当時の悔し涙を流して、家内に「もう会社を辞めたい。」といったことは、未だに忘れられません。
私の下記の記事も参考にしていただければ有難いです。
まとめ
中高年が転職で、新しい分野へ挑戦すべきかと言えば、イエスです。ただ、めちゃくちゃ大変です。もう一度、転職直後の状況に戻りたいかと言えば、断じて「ノー」です。正直、転職はコリゴリです。
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この年になって、新しいことをやらないけないなんて、悲惨やよ!
不運としか言いようがないよ!
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[chat face="若い女性.jpg" name="素晴らしい同僚" align="right" border="none" bg="green"]
私の父は長年信用金庫だったのに55歳で役職定年して,介護保険施設の事務長になり,いきなり介護医療の勉強を初めました!
62歳からは,鶏肉の会社の事務長になり,食品の勉強を始めましたよ!
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フロンテさんまだまだ若いです!未知の領域頑張って下さい!
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まさに、同僚の名言です。この言葉を聞いた時に、自分自身の甘さ加減を恥じました。世の中には、もっともっと苦労されて、新しい分野に挑戦し、成果を出さえている方がいるのです。
中高年だからと言って、現状に固執せずに、新しい分野に挑戦し、大きく羽ばたかれることを心から祈念しております。
私にも言い聞かせているのですが、
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負けるな中高年リーマン!前へ!!!
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