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リストラ離婚 中高年リーマンの半生

中高年一般社員がリストラされる - 転職?

事業所のトップの取締役本部長が社員の適正配置ができたと宣言していたので、一般社員はみんなそれなりに、大丈夫だと思っていました。これで腰を落ち着けで仕事に励めると思っていた時に、衝撃的なニュースが入ります。

取締役本部長が退任

幹部社員がリストラされて、1年ぐらいたったころ、急に取締役本部長の退任が発表されました。そしてその後任に、アメリカ人本部長が任命されました。なんと、アメリカ人本部長は、事業所のある日本には居住せずに、アメリカに居住するとのことでした。しかも、彼のアメリカの居住地域に、小規模ながら、私が所属していた事業所と同じ機能をもった事業所が設立されていました。

え~~~嘘でしょう?が私の第一声でした。

もちろん、日本の事業所の人には公式にはそんなメッセージは一切なく、あくまで事業所のグローバル化の一環であるとの説明でした。

アメリカの事業所から来たアメリカ人の若手社員ジム(仮名)が、私のいる事業所での一番の最初の挨拶の時に、「こんにちは。事業所本部から来たジムです。日本の事業所支社の現況を見に来ましたのでよろしくお願いします。」と、全くの悪気なく言い放ちました。

 

その時、私の頭に浮かんだのは、「日本の事業所完全に終わったな!もう新たなリストラを行わないと宣言した取締役本部長はいないから、今度は一般社員を巻き込んだ大規模なリストラが絶対行われるはずだ。」ということでした。

[box05 title="真のメッセージ"]今の日本の事業所には期待しない。アメリカで設立したものが、日本の事業所を引き継ぐ。[/box05] 

 

事業所再編成という名の閉鎖提案

アメリカ人の本部長になってまず提案されたのは、事業所の再度の組織変更でした。そのころになると、事業所にいる大抵の人は、日本の事業所をなくしたいのだろうなということは薄々わかっていました。

事業所再編成の真の狙い

漏れ伝えてきた話によると、日本の雇用システムのために、アメリカのように簡単に従業員を解雇できないことに激怒していたとのことでした。そんなこともあり、アメリカ人本部長は、日本の事業所にほとんど顔を見せずに、日本の事業所はないものとして、やっている感じでした。

彼の本当の使命は日本の事業所を閉鎖するためで、そのために雇用されたのでないかと、私は思うようになりました。

そのころになると、事業所の部門長はほぼ非日本人が占めるようになりました。部門長は本部長とは違い、日本在住で、事業所に基本的に毎日出勤していました。もちろん、私が所属している部門の部門長もアメリカ人でした。

組合の幹部をしていたので、私の元にも情報は入ってきましたが、表向きは「事業所再編を行うのであって、リストラで人員を切ることは一切ない。」とのことでした。もちろん、業績の出にくいかつ出ていない事業所だったので、業績が出るように組織変更を行うことに、面と向かって組合も反対できない事情がありました。

再編成の提案は、現場の日本人幹部から出されたものを、外人の上層部が自分たちの思う内容になるまで、修正を要求してできたものでした。わかりやすく言えば、戦後、日本人によって自主制定されたと言われている日本国憲法のようなもので、大日本帝国憲法とは根本的に全く違うものでした。

再編成の最終的な内容

1)事業所の一部は、ベンチャー企業として独立する。(組合も日本人幹部も、素晴らしい業績候補が沢山あるとアピールしていたので、そこまで言うなら独立して自由にやったらいいじゃないかという話)

2)いままで所属会社のためだけに提供していたサービスを、事業所として独立させて、すべての会社に提供できるようにする。(これも、事業所の生産性があるという主張に対して、独立させことによって、証明したらというスタンス)

3)大手内資企業であるため、日本の事業所のすべての部門を閉鎖するわけにはいかないので、1部門だけを残すことにして、その他の部門は、すべてアメリカの事業所で行う。日本に残す部門は、困難な領域を扱う部門で、おそらく採算を出せる可能性は非常に少ないので、日本にそこしておこうという判断。採算の出せそうな部門はすべてアメリカでやり、日本の事業所は切るという発想。

4)選考によって、アメリカの事業所に行きたい者は行くことができ、3年間の雇用は保証される。しかし、4年目以降アメリカの事業所で働き続けるためには、現地採用アメリカ人と競争して、生き残る必要がある。日本からの出向者という甘えは一切取り除かれる。

 

再編成の内容からは明らかなように、一言で言えば、日本の事業所の閉鎖でした。しかし、日本の労働法があるために、回りくどいやり方で、実質上の閉鎖を勝ち取るというものでした。本当に賢いやり方です。優秀な日本の労働法に明るい弁護士を何人も雇い、練り上げていったものであることは明らかでした。

 

結論から言うと、生産性の低い日本の事業所閉鎖は既定路線で、その閉鎖を世間や社内にたたかれないようにして、どのように効率的に遂行していくかを提案したということです。

 

狡猾な理論武装と戦略

我々や組合は、日本の事業所の生産性は高いとの主張を繰り返し、日本の事業所の継続を頑固として主張していました。しかし、もう事業所には何年も新卒社員は入社してきていませんでした。当然ですよね。閉鎖する事業所に、人員を補充するわけがありません。もちろん、キャリア社員の入社、いわゆる中途社員の入社もゼロになっていました。

ー事業所の生産性は高いとの主張 → 独立できるチャンスを上げるので、大いに羽ばたいてほしい、一企業のためでなく、日本のすべての関連企業もっと言えば、世界の関連企業のために貢献してほしい。 → 我々も組合も。この案に対して反対できないですよね。   ー割増退職金等の提案は会社側から一切しない → リストラではなく、再編成なので。皮肉なことに最終的には、しびれを切らした組合員が組合を動かして、自らリストラを受け入れるから、兎に角、割増退職金を出してくれと懇願する形になった。   ーすぐに再編成をするのではなく、5年以上の歳月をかけてじっくりとする。→ 中途半端な不安的な形の事業所の途中再編成で、従業員の焦りと諦念を引き出し、結果的に受け入れざる負えない状況に持っていく。→ 個人的には素晴らしい戦略だと思い、感心しました。まともな考えの従業員だと、仕事しているかしていないかわからない飼い殺し状況で何年もやっていると、仕事のやりがいもなくなり、将来的にしがみついても、どんどん悪い状況になっていくので、自ら転職していこうと判断するようになります   ーアメリカの事業所に行った人も、結局はほとんど日本に帰国することになりました。出向のお客さんではないので、アメリカの生き馬の目を抜く環境の中で生き抜くことは容易ではありません。しかも、長い間家族でアメリカにいると、子供たちがアメリカに適用してしまって、日本では適用できなくなってしまうことになります。私もアメリカにいたことがありますが、ネイティブスピーカーのように話せることはなく、文化も違うので疎外感を感じます。しかも、食生活が全然合わないので、やはり祖国の日本が一番いいと思ったものです。

アメリカに行くなら、出向のお客さんとして以外はあり得ないといったところでないでしょうか?

思惑通り、アメリカから退散した日本人従業員は、他の会社に転職していく人がほとんどでした

部門長がCVを用意しておくようにとの指示

私が所属する部門長は、上層部の意志を受けて、有望そうなprojectを見極めて、ベンチャー企業として独立することを支援するために奔走していました。1社だけでなく、できれば10社以上、少なくとも数社は、ベンチャー企業を立ち上げることが課されていたんだと思います。それによって、退職金あるいはボーナスの額が全然違ったんだと思います。いかにもアメリカらしい運営の仕方です。

部門長の異例のメッセージ

部門長は、日本人従業員の生存能力に呆れていたのかもしれません。国内の大企業にいたぬるま湯体質へのメッセージを、部門の全体会議の時に、オブラートに包んで話していました。上層部から、「リストラはしない、あくまでも組織編成だ。」ということしかいうなと言われていた彼は、一般的なメッセージを出しました。

[box04 title="部門長の重要なメッセージ"]小学生じゃないんだから、会社にどうしてくれるんだとかいって、すべてを決めてもらおうとするメンタリティーは全体持たないように。そして、自分の人生なんだから、自分の今後の進路は自分で決めるのが当たり前で、会社に何とかしてもらおうという考えを持たないように。[/box04]

 

それでも現実から目を背ける人へのメッセージ

それでも、良く状況を理解していない部門員が多くいたので、彼としては上層部ににらまれない範囲で、できるだけの親切にメッセージを出してあげたんだと思います。心の奥底ではわかっていても、目先の言葉にしがみついて、それを当てにしてしますのが人間の性です。

真のメッセージは、「日本の事業所は閉鎖する。もう君たちは出て行ってくれ。」です。法律に触れない表向きのメッセージは、「リストラはしない。効率化を目指した組織再編で、考えを変えれば、君たちには、独立や海外で羽ばたくチャンスがある。」です。

 

執行役員で転職してきた日本人が、事業所全体会議で表向きのメッセージを真剣に伝えていたのを、未だに思い出します。

「これはチャンスだ!独立したり海外で羽ばたけるチャンスを貰える君たちが本当に羨ましい。この機会を絶対逃さないように。私が若かったら、進んでこの機会を取って、成功するように最大限努力するよ。

と言い放っていました。これを聞いた時、「このペテン師が、よくもそんな嘘をいけしゃあしゃあと言えるもんだな~~~ 全く末端の普通の従業員のことは考えていないな~~」と心の中で叫んでいました。恰幅のいい、いかにも重役の風貌の方でした。誠実で人の良さそうな好人物を装ったペテン師だとすぐに気づきました。

今、当時いた会社のトップマネージメントをみると、ほとんど入れ替わっています。このペテン師もいなくなっていました。まぁ、本当に超優秀な0.1%以下の従業員へのメッセージなら、ある意味正しいでしょう。しかし、その場にいた一般の従業員には、詐欺のような話です。未だに彼の顔をみると、複雑な気持ちになります。

 

私が所属していた部門長は、優しさがあるので、ペテン師のメッセージとは全く違くメッセージを出してくれました。

「今から、ちゃんと自分自身のCV (Curriculum Vitaeの略で、履歴書+職務経歴書のこと)を用意しておくように。書き方がわからない人のために、私のCVを参考にしてください。疑問があれば直接私のところに来てください。」

と言って、部門員全員に、彼のCVを配ってくれました。

転職の準備をしろという明らかなメッセージです。しかも、CVを準備して、自分の経歴を振り返り、自身の今後のキャリア開発につなげることは、一般的に大事なことですので、何か周りからや上層部からクレームを避けることができます。

彼は、CVを作って、転職エージェントにコンタクトして、次の職を探し始めろとは言っていないのです。CVを業務命令として、作れと言っているだけです。

しかし、私達部門員にとっては、明確に意図が伝わります。「もうこの部門および事業所はなくなる。次の仕事を自分で見つけるように。」です。

 

まとめ

1) 会社がリストラで中高年従業員に出て行ってもらって、事業所を閉鎖しようとしたら、そのメッセージをちゃんと受け取るように。どんなに不都合なメッセージであっても、現実から目を背けず、その意味することを理解すること。   2) 日本の労働基準法があっても、会社が事業所を閉鎖しようとしたら、法律に触れない狡猾な方法でやり抜くので、覆すことはできないことを理解すること。   3) 自分の履歴書と職務経歴書を更新し、いつでも中高年の転職をできるように準備しておくことが、最大のリストラ対策である。   4) 社内に残るのがいいのか、転職するのがいいのかを客観的に判断して、粛々とベストな選択肢を実現するために、早めに動くこと。

 

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