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リストラ離婚 中高年リーマンの半生

中高年幹部社員がリストラされ、転職して行った。

大手内資企業に転職が決まり、無事つつがなく過ごして、6年が過ぎた頃、急に中高年幹部社員のリストラが始まりました。やはり、売り上げという形で成果の出しにくい事業所の将来性は、どこの企業に行っても同じなのでしょうか?

旧態依然としたゆったりした大手内資企業

入社して一番驚いたのは、私の上司の江藤さん(仮名)のゆったりとしたところでした。ガツガツしたところがなく、部下の私に注意するときも温厚で、まあいいかといった感じでした。

 

1)一度2人でビデオ会議に出ることになったのですが、結局ビデオ会議は開催されませんでした。江藤さんが、主催者としてビデオ会議を設定して、すべてのお膳立てをしないといけないのに、何もしていなかったからです。「あれ、いつもは誰かが設定してくれるのに。俺が設定しないといけなかったのかな?わるいわるい。」で、お終いです。大丈夫なのかとは思いましたが、思わず、ぷっと笑いそうになりました。

 

2)出入り業者に、価格交渉をして結構値切っていたところを、江藤さんに見つかりました。あとから、怪訝そうな顔で

江藤さん:「そんな価格交渉なんかしなくていいよ。「うちの会社は金あるんやから、定価で買ってもいいよ。」

私:「はぁ、でも安くする方が良くないですか?」

江藤さん:「金持ち喧嘩せずや。人助けや、そのようにして経済を潤わせてあげんとね。」

私:(すごい会社やな。入れてよかったけど、大丈夫か?こんなんで。将来やばいんちゃうか?)と心の中でつぶやき、キツネにつままれたような感じでした。

 

3)居室をチームメンバーで毎週の決まった日に掃除していました。今はもうなくなりましたが、その当時は、まだまだアットホームな感じでした。しかし、使っているのが掃除機で、ダイソンの最高機種でした。私は、ようこんな高価なのを購入したなと、同僚に聞いたところ、年度の予算が余って、仕方なかったからとのこと。まあ、驚きを通り越して、唖然としました。

 

4)プロジェクトを承認してもらうための発表30分のために、新幹線を使って往復5時間もかかる本社に行くのが慣習でした。事前に資料を送っているし、メールの遣り取りか、ビデオ会議でいいんじゃないかと思っていましたが、失礼なことをするなと言われ、出向いていました。大した話し合いもないので、無駄やなと思っていましたが、まあ、偉いさんがもっと無茶苦茶でした。私が、プロジェクトの発表を始める前に、ちょっと資料に目を通して、

偉いさん:「こんなん、認められへんな。却下や!」と言い放ちました。

私:「・・・」唖然として立ち尽くしました。

偉いさん:「発表せんと、出張費でないよ。簡単に発表だけしたら?」

私:「有難うございます。それでは発表させていただきます。」といったものの、心の中では、もう却下が決まってるんやったら、発表してもしゃあないやんと毒づいていました。

発表が終わったのち、色々と周りの人が取りなしてくれて、他の偉い方が、その偉いさんを説得してくれました。

偉いさん:「今回だけは、わざわざ遠くから来てるから、おまけでOKにしてあげるよ。

私:「どうもありがとうございます。」といったものの、却下から承認に覆った理由が、「私が遠くから来たこと。」とは、恐れ入ります。議事録では、そんなことは一切言及さえず、プロジェクト承認となりました。正直、???で、この会社大丈夫か?が私の本当の気持ちでした。

 

キャリア採用の増加

こんな会社だから、上層部の更に上層部、会長や社長は危機感を非常に抱いていました。そりゃ、そうでしょうね。なので、このままでは駄目だということで、外部から血を入れること(キャリア採用すること)と、グローバル化すること(プロの外国籍の上層幹部社員をリクルートすることも含め)を目指していました。

そのため、有難いことに私が40歳でも中途採用されたのです。他にもかなりの人数がキャリア採用で入ってきました。キャリア採用者は、純粋培養社員比べて優秀かと言われると、何とも言えないです。

ただ、キャリア採用者は、基本、年とって入社してきているので、それなりの業績があります。ただ、その業績を盾に目立とうとして、自己主張が強く、ガツガツしています。

それに比べ、純粋培養社員は、基本性格も良く、おとなしい人が多かったです。キャリア採用の私が言うのもなんですが、キャリア採用者を増やしたのが良かったのかは、はなはだ疑問です。ただ、このままではいけないという危機感が、キャリア採用者の飛躍的な増加を生み出したのだと思います。

個人的な意見ですが、私は純粋培養社員が好きです。私が本当に優秀だと思った従業員はすべて純粋培養社員でした。

急激な上層部のグルーバル化

入社した時は、ほぼ日本人社員だったのに、気が付けば、事業所の上層部に占める非日本人の割合が飛躍的に伸びていきました。

それに伴い、私が出会った偉いさんや上司だった江藤さんは、閑職に追いやられるか、実質上の権限がなくなるかになっていました。部門長以上の職位は、最終的には、ほぼ非日本人で占めることになりました。

 

反発する純粋培養の中高年幹部社員

上層部が非日本人になり、キャリヤ採用者が増えてくると、純粋培養の中高年社員の中に危機感が芽生えてきました。

特に出世を目指していて、このままいけば問題なく出世できると思っていた池山さん(仮名)がそうでした。部長になり、その上のシニア部長も視野にいれているのは確実でした。非常に温厚で、誠実な感じの方でした。

しかし、池山さんは、博士号を持っていなかったのが、このグローバル化が進んだ事業所では、かなりやばい状況でした。

キャリア社員は、ほぼ全員博士号を持っています。部長以上で、博士号を持っていないのは、グローバル基準では明らかに不適格です。アメリカでは、日本以上に学歴が物を言います。

もちろん、池山さん本人もそのことを痛いほど自覚していました。なので、論文を出して博士号を取得しようと本当に必死でした。

キャリアで入社した部長が、はっきり言って2~3流大学出身なのに、博士号を持っているということで、自分の直属の上司になったことにすごい反発を覚えていました。

その時、一流大学出身の池山さんは副部長でした。本来なら自分がなる部長のポジションにといった反発の気持ちが溢れ出ていました。

 

定まらない部門内方針

私がプロジェクトの話で池山さんに方針を聞きに行ったときに、部長の部屋を指さして、苦虫を噛み潰したような顔だけして無言でした。

私は、部長に直接聞いたらいいんですねと問いただしましたが、何も言わず、さらに部長の部屋を指さして、うんざりした顔をしていました。いや、温厚な池山さんの裏の顔を見た気がしました。

毎月の全体報告会で、私以外にも、事業所の方針として統一した意見を出してくれといった意見が出てきました。

副部長と部長が対立して、お互いに違うことを言うもんですから、下の者は右往左往でたまりませんでした。こんな状態だから、幹部社員たちに、リストラのメスが入ることになります。

 

実質上懲戒解雇になった純粋培養の中高年幹部社員

池山さんは兎に角、出世と社内での権力闘争のために、博士号を手に入れようとしていました。もう、誠実で温厚な人柄はどこかに飛んでしまっていました。

結局、彼は自分の部下たちが中心になって書いてpublishした論文2~3報を使って、博士号の申請をコネがあった大学にして、博士号を取得しました。それがバレて大問題になりました。社内倫理規定および社内手続きを逸脱していたからです。

当然です。部下が書いた論文を横取りして、自分自身の業績として、博士号の申請をしたのですから、明らかに社内規則違反です。昔の体制だったら、十分揉み消せたので、その古い面メンタリティーのままだったのでしょう。

 

もう新しい体制になっていたので、事情聴取が始まり、結局、論文を書いた部下たちに直接謝罪することになりました。部下たちもあきれ返っていました。なぜ、そのようなことをしたかだけ、聞かせてくれと問い詰められ、池山さんが言ったのは、要約すると、

「上層部がアメリカ人なり、かつ、キャリア採用の博士号取得者がたくさん入ってきて、自分の立場がなくなるという危機感を感じたため、どうしても博士号が必要だった。」とのことです。

 

結局、池山さんが会社を自主退職するという条件で、この件はうやむやになりました。実質の懲戒解雇です。

池山さんがもし自主退職を拒否したら、公にして、懲罰員会にかけて、懲戒解雇処分で、退職金がなくなり、博士号も取り消しになっていたと思います。

会社としても、公になれば、会社のイメージが崩れ、博士号を出した大学に謝罪するとともに、下手をすると、会社からの博士号の申請は二度としないと宣言することになったかもしれません。

池山さんは、退職金と博士号が得られ、不名誉なことが漏れずに、再就職できたのですから、池山さんにとっても良かったのかもしれません。どこに、再就職したのかは知りませんが、二度と私の属する会社関係者の前には、表れないと思います。

 

今回の件で、誠実で良い人でも、出世や権力欲に目がくらむと、不正を犯すということを目の当たりにしました。

中高年幹部社員全体の25%の人員のリストラ

年功序列で幹部社員になったいわゆる典型的な昔の大企業の課長たちのリストラが始まりました。

中高年幹部社員の配置転換

とうとう来るべき時が来ました。とびきり優秀な純粋培養社員もいましたが、年功序列の会社です。池山さんのような人や、もっと覇気がなく会社にぶら下がっているような幹部社員たちを排除するための配置転換が始まりました。

配置転換と言っても、幹部社員のポジションが25%減らされ、75%の人しか残りません。

あぶれた25%の幹部社員には2つの道が用意されていました。

[box01 title="2つの道"]

1)割増退職金をもらって、かつ再就職支援を受けて、自主退職して、外でポジションを得る。

2)同じ事業所に残ることはできるが、職務バンドは、新卒の新入社員よりも低くなり、職務内容な未定でしたが、職務バンドに沿ったものになる。

[/box01]

 

2)の場合でも、世間の一般平均年収よりは高いので、普通に暮らしていけます。

ただ、選ばれなかった25%の人の誰一人、2)の選択をした人はいませんでした。やっぱり、プライドが高いのと、外でもある程度のポジションは取れると自信があったのだと思います。

残ると、意地の悪いキャリア社員がいたのでプライドはズタズタになっていたと思います。それがどうしても嫌だったのでしょう。

しかし、残れば組合員として守られ、ほとんど責任のない気楽な職務になれるので、それも一つの考え方かもなという人もいたことは事実です。

 

配置転換であぶれた中高年幹部社員の退職

結局、誰がどこのポジションに選ばれたのか、誰が退職するのかは、選ばれなかった幹部社員の一斉退職日の直前まで明らかにされませんでした。

しかし、幹部社員の様子を見ていたら大体わかりました。明らかに仕事が上の空になって悲しんでいる幹部社員、急に有給休暇を使って長期休みに入る幹部社員、明らかに不機嫌になってすごい負のオーラを出している幹部社員、ほっとして急に張り切りだす幹部社員、様々でした。

私の社宅と同じ地区にいた幹部社員は、その奥さんの様子がおかしくなり、家内が私に何かあったのかときいていくるぐらいでしたから、インパクトはすごいものでした。

 

あぶれた25%の幹部社員が全員退職し、新しい体制で事業所が再出発しました。

今回は、幹部社員でない組合員は、全く無傷でした。社歴の長い会社なので、組合が非常に強いので、一般社員の組合員には一切手が付けられませんでした。

組合も、幹部社員のリストラに関しては、何の意見も言うことはできないので、実質傍観をしていました。

 

リストラ終了宣言

事業所のトップの取締役本部長が、これで人員の適切配置が完了したので、私の名誉にかけても、今後このような人員削減につながる処置をすることはないので、皆さん安心して仕事に励んでくださいと全体のタウンホールミーティングで宣言されました。

 

ここまで、大々的に事業所のトップがリストラはしないと言ったので、いくら何でも約束を破ることはないだろうと多くの従業員は安堵したのでした。

 

しかし、私はずっと疑問に思っていました。

アメリカ人の幹部が本当にクビにしたかったのは、できの悪い幹部社員だったのだろうか?と私はマジで疑問に思っていました。

[box03 title="私の疑問"]

年功序列でも幹部社員になれない純粋培養社員や口ばっかりのキャリヤ社員は、お咎めなしということはあるだろうか?絶対にないはずだ。人数も幹部社員よりも圧倒的に多いし、やっぱり、本当のターゲットは一般社員ではないだろうか?

ー今回は、幹部社員をリストラするというアドバルーンを上げて様子を見たかったのではないだろうか?このアドバルーンが成功したので、次は本当のターゲットである一般社員になるんだろう。

ー老舗の国内大企業で、赤字でもないのに、社歴上始めて行われたリストラである。それだけでもインパクトはあるので、段階的にリストラをしないといけないので、今回は、真のターゲットではないけれども、中高年の幹部社員をリストラしただけで、あくまでも前段階にすぎないのではないだろうか?

[/box03]

 

中高年の幹部社員だけがリストラされて、中高年の一般社員がリストラされないなんてあるだろうか?誰が考えてもおかしな話です。 → 結局、そんな話はなく、この後、真のターゲットである中高年の一般社員がリストラされることになります。

 

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